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ブルーオーシャン戦略

ブルーオーシャン戦略。

Wikipediaによると、以下のように書いてある。

”血で血を洗うような競争の激しい既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海)」とし、そこから可能な限り脱却して、競争のない理想的な未開拓市場である「ブルー・オーシャン(青い海)」を切り開くべき”

「ブルーオーシャン戦略」という書籍が日本語に翻訳されたのが2005年。確かに、98年に社会人になった頃にはなかった用語で、しばらくしてからこの用語をよく聞くようになった。

その主張は大変良く理解できる。っていうか、あえて偉い経営学者に難しい用語で説明してもらわずとも、「そんなこと誰でもわかっとるわ」という話である。

私は、どうもこのブルーオーシャン戦略に違和感を感じる。一見、ブルーオーシャン戦略で成功しているように見えるプレイヤーは、そんな大きな市場があるかどうかわからないところからスタートしているケースが多いと感じているからだ。

wikipediaでは、ブルーオーシャン戦略の成功例としてQBハウスやワークマンが挙げられている。確かに、競争相手の少ない市場で、成功している。

しかし、彼らがその市場に乗り出した時、そもそもそんな市場があるかどうかはわからなかったはずだ(私が実際にインタビューしたわけではないので、類推だが)。

試行錯誤しているうちに、そこにチャンスがあると思って、乾坤一擲勝負した、というのが実際のところだろう。

つまり、彼らにとってはブルーオーシャン(市場はあるが競合が少ない)ではなく、ゼロオーシャン(市場がない)だったと思われる。後になって、世間の人が「あれはブルーオーシャン戦略だった」というだけで、当事者にとってはゼロからのスタートだったのだろう。

そもそも、競合が少ない未開拓市場が本当にあるのであれば、そこに目を付けた資金力のあるプレイヤーが真っ先に進出して、一気にレッドオーシャン化するはずだ。金融用語でいうアービトラージ(裁定取引)である。

こう考えると、ブルーオーシャン戦略で成功する条件というのは限定的である。

・未開拓市場がある

・プレイヤーが少ない

・新たに参入するプレイヤーが少ない

・自分にはその市場に参入するだけの経営リソースがある

などであろうか。

新たに参入するプレイヤーが少ない理由の分析がキーとなる。同時に、その理由があるにもかかわらず、自分だけは参入できると思う根拠を分析したい。

おそらく、ほとんどの人がここで挫折することになるだろう。

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市場があるかどうかわからないゼロオーシャンに、乾坤一擲で勝負してリソースを投入するくらいでないと、競合の少ない市場で成功することは覚束ないと考えるべきである。

ゼロオーシャン戦略は、MBA的な市場分析や経営戦略というよりも、そこに身を投じるコホーネス(スペイン語で男性器を指し、転じて勇気・覚悟を意味する。ヘミングウエイが良く使う言葉)のほうが重要だ。

成功している会社の理由を分析するとき、未来人の立場から、後講釈で、ブルーオーシャン戦略であると安易に理解してしまうことがあるが、それでは不足していると思う。

そのビジネスを始めたときの経営者の気概や覚悟に着目して、真の姿を理解するようにしたい。そこに次の一手のヒントがあるはず、と思うからである。

なお、文中に使用したコホーネスというのは、沢木耕太郎氏の隠れた名著「王の闇」に出てくる言い回しである。