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『竜馬がゆく』

司馬遼太郎の『竜馬がゆく』は小職の年来の愛読書です。

子供のころから読み続けているので、ここに書いてある文章はすべて血となり肉となっています。

もし小職に文才があれば、『大事なことはみんな「竜馬がゆく」から教わった』なんていう本も書いてしまいそうです。

文庫本で全8巻という大作です。中でも、大政奉還のくだりは第8巻のまさに掉尾を飾る大団円の項となっています。非常にダイナミックな展開で、日本史の醍醐味を存分に楽しむことができます。

ここで、竜馬は盟友後藤象二郎とともに大政奉還案を幕府に働きかけ、将軍徳川慶喜をして、政権投げだしという一大決断をさせます。

徳川慶喜をしてこの一大決断をさせしめる展開は、まさに法人営業と似ています。

特に、数多くのクライアントにアプローチするマスマーケティングではなく、動きは鈍いが動けば大きい大企業に対し、地道に営業活動を続けるタイプに似ています。

そう思ってこの展開を見ると、非常に示唆に富んだ内容になっています。

①キーパーソンにアプローチしている。

竜馬も後藤も身分的に将軍に直接会うことはできません。なので、将軍の秘書役ともいうべき永井尚志を選び、説得を重ねます。

「城の石垣は一見不動のようにみえるが、一か所の石を抜けば全体が崩れるという場所がある。それが永井である」と竜馬が言っています。

営業活動においてキーパーソンを見つけてアプローチするのは必須の行為です。小職はいつもこの竜馬のセリフを念頭に置いています。

②相手のメリットを提示する。

「これは新政府樹立案であると同時に、徳川家救済案でもある」という言い方をしています。討幕派と会うときは前段に重きを置き、幕府側と会うときは後者を強調しています。

相手のメリットを提示するのは当たり前ですが、これができていない営業マンが多いと思います。

中には、自分のメリットを言ってんじゃないの??と思うこともあります。「この提案を受けてくれると、ウチの目標が達成されますー」というやつです。言語道断です。

③何度も訪問している。

これは頭の良い人にありがちですが、最初の面談ですべての情報を提供したから、追加的な面談は不要と思ってしまうケースがあります。

後藤象二郎も、「なにも催促するわけではありませぬが、なおなお意見を申しのべたく」といって毎日訪問しています。場合によっては、一日に二度訪問しています。このセリフは使えます。

営業のシーンで、最初の面談で好感触だったとしても、そのあとクライアントは競合の意見を聞いたり、社内の意見を聞いたりしています。クライアントの脳みそは追加的な情報で上書きされていきます。特に重要な提案の場合、何度も面談して、常に自分の提案がクライアントの脳みそを占拠している状態にする必要があります。

④断れない背景を作る。

永井尚志が何度も訪問する後藤象二郎を無碍に扱えない理由は、これを却下すれば即座に討幕軍を起こされることが想定されたからです。

会社と会社は長い付き合いがあるケースが多いです。過去には助けたり助けてもらったりという経緯もあるでしょう。また、グズグズしていたら他社に提案に行く、ということもありえます。

営業マンは、いつでも過去の恩(or他社に持っていく)という伝家の宝刀を抜ける準備をしておく必要があります。

キャリア的に財務のプロと思われることが多いですが、実は法人営業のプロを自任している筆者からは以上です。