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クラシックコンサート

先日、クラシックコンサートに行ってきました。マーラーの交響曲第3番というマニアックな曲です。新しくなったサントリーホールにようやく行けました。

同好の士が少ないので、一人で行きます。こういうのに躊躇なく一人で行けるようになって初めて、筋金入りのクラシックファンと言えます。

以下雑感です。

①この産業の行く末

いつもそうですが、観客はシニアな方ばかりでした。私はかなり若い部類でした。

この産業が若い人のハートをつかめていないことは確かでしょう。

また収容人数は、大ホールでも2000席。

100人を超えるオーケストラが必死に弾いて、呼べる人数は2000人。マイクという拡声器を使わないので、限界があります。

ミスチルなら東京ドームで5万人集めます。こっちのほうがはるかに儲かるし女の子にももてそう。

仮にモーツアルトのような天才が現代社会に生まれたとして、書くのは「交響曲40番」ではなく、「tomorrow never knows」なんでしょう。

私は好きなので聴き続けるし、通い続けますが、この産業がどうなっていくのか、いつも心配になります。

②収益配分

生臭い話ですが、オーケストラを聴いていて、いつも奏者間の収益配分に疑問を抱きます。

最初から最後までほぼ連続して弾き続けるヴァイオリンと、そこまで連続ではないが、たまにあるソロで絶対にミスできない緊張を強いられるクラリネットと、めったに動かないが、インパクト抜群のシンバルの奏者は、それぞれいくらもらっているのか。

今回特に注目してみていたのが、ハーブの二人でした。

90分の演奏のうち、奏でていたのが、おそらく3分ほど。しかも、よく聴かないとわからない程度の音量でした。

マーラーが楽譜に書いてしまったのでしょうがないですが、できれば割愛したいと思ったスタッフがいるに違いありません。楽器を運ぶだけでも大変です。

一人は白髪のかなり年配の男性、もう一人は若い女性でした。

奏でている部分はまったく同じでした。お給料は同じなのか、違うのか。

異なる楽器間の収益配分、また同じ楽器内での収益配分ともに、誰もが納得できる配分方法はあるのでしょうか。

実は世界標準で使われている黄金率のような配分ルールがあったりするのでしょうか。

③演奏後の個別奏者への拍手喝采

演奏後に、指揮者が指名して、個別の奏者を立たせます。観客は拍手喝采します。感動的な素晴らしいシーンであると思っています。

小職の経験では、ソロパートがある管楽器が常に選ばれているように思います。

最初から最後まで必死に弾いている弦楽器が選ばれることは少ないです。とくにコントラバスやチェロといった低弦奏者が選ばれることはほぼないという印象です。

確かに、目立つソロパートを弾ききった奏者に対し拍手するのは当然ですが、縁の下の力持ちとして支えた低弦奏者にも光を当てるべきです。

一方で、そういうもんだ、という気もします。

会社においても、収益を上げる営業部門が拍手喝采され、(私がいたような)管理系部門はあまり目立たず、でも必死にがんばっているという構図が見られます。

管理系部門は会社経営という高度な課題に対処するがゆえに、経営陣と近いところで仕事が出来るし、会社の機密情報にもタッチできます。でも逆に営業のように目立つことはないし、派手に注目されることもない。出世や報酬面において差があるケースもあるでしょう。

しかし、両者が信頼しあってこそ、会社は成り立ちます。

オーケストラは、(少なくとも表面上は)こういった相反する部門間の利害をうまく折り合いをつけて、信頼しあっているように見えます。

そういえば、指名された奏者に対して喝采をしているのは、観客だけではなく、オーケストラの他のメンバーもでした。彼らは拍手はせずに、足音を立てたり、楽器を叩いたりします。

互いの演奏に耳を傾け、素晴らしい演奏に対して惜しみなく拍手を送る姿勢があって、初めて組織は機能するのでしょう。

といった組織論を考えながら聴いていました。

といいつつ、実は第一楽章は爆睡していた筆者からは以上です。