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釣りキチ少年

今はまったくその趣味はないですが、少年時代は釣りが趣味でした。

川の多い地域で育ったので、川釣りです。

フナやコイを釣るのですが、エサは「サシ」と呼ばれる、ハエの幼虫でした。

これを釣り具ショップで買ってきて使います。

室温で置いておくと、成長してハエになってしまうので、冷蔵庫に入れておいて、釣りに行くときに冷蔵庫から出して使っていました(これもちょっとエグい)。

なぜ魚がハエの幼虫を食べるのか、不思議でなりませんでした。

当たり前ですが、普段食べて美味しいと思っているから、食べるのです。それは人間も魚も一緒でしょう。

ハエの幼虫が川の中にいるわけもなく、空から降ってくるわけでもありません。

普段食べないハエの幼虫を、なぜ魚が食べるのか、疑問に思いつつ、釣りをしていました。

ある日、友人と釣りに行きましたが、なかなか釣果が上がらず、川辺で駄弁っていたところ、強い腐臭が漂ってきました。

何かと思って見ていると、川上から、死んだ魚が流れてきました。それが腐って、強い腐臭を放っていました。

死んだ魚には、ハエがたかっていました。

よく見ると、ハエの幼虫が、魚の上を這いずり回っていました。

そして、魚の死体から落ちるハエの幼虫を、魚たちが争って食べていました。

なるほど!

大野少年の疑問は氷解しました。

ハエの幼虫は、死んだ魚の肉を食べるので、ハエはそこに産卵するのです。

そして、大量に孵化した幼虫が、死んだ魚からポロポロ落ちるところを、魚が食べるのです。だから、ハエの幼虫が釣りのエサ足りうるのです。

後で調べると、ハエのタマゴは、わずか半日で孵化するらしいです。

魚が死ぬ→ハエがタマゴを産み付ける→タマゴが孵化して幼虫になる→幼虫が川に落ちる→魚が食べる

というサイクルが成立していたのです。

今まさに這いずり回っていたハエの幼虫は、冷蔵庫で冷やされていた私のエサと違い、動きが激しく、水の中でも目立つのでしょう。

私のエサには目もくれず、死んだ魚から落ちる幼虫を食べていました。そっちのほうが美味しいに違いありません。

私の目の前を過ぎるまで、わずか1分くらいの間でした。

そのエグい映像が、その腐臭とともに、強烈な印象となっていまだに脳裏に焼き付いています。

大野少年はこれをきっかけに生物の神秘に目覚め、大学では生物学を専攻し、いまは大学で教鞭をとっています。

となれば美しい展開ですが、そうはならず、なぜか経済学部を卒業して銀行に入る(その後もいろいろあるのですが)という資本主義社会の申し子のような人生を歩んでいます。