中学時代のこと
今日は中学生時代に好きな女の子がいて、という話をします。
今から思えばアホで多感な男子中学生だった私は、2年生のときにある女の子を好きになりました。
字を書くのは大嫌いだが、文章をつむぐのは得意という変な性向を持つ私は、思い切って手紙を書くことにしました。
大概真夜中にそう思い切るのですが、真夜中に書く手紙は大哲学者が大恋愛しているかのような誇大妄想的な文章になってしまいます。翌朝、「何やこれ、アホか」と言って破り捨てるのが常でした。
…
でも彼女のことが好きで好きで好きでたまらなかった私は、毎夜のごとく手紙を書いては、翌朝にそれを破り捨てるということを繰り返していました。
あるとき、それを破り捨て忘れて、そのままなぜか教科書にはさんだまま登校してしまい、教科書を開いたとたんその手紙が落ちてしまいました。
それを見た彼女が、そうまさにその彼女が、「何これー、ラブレター?誰に渡すの?」と大声で騒ぎました。
『そうやで、お前にわたすんやで。お前のことを想って書いたんやで』と心の中で思いつつも、「ちゃうわ、返せや」といって取り返し、破り捨ててしまいました。
それっきり、彼女との間は何ら進展することなく、クラス替えがあり、一年後には卒業してしまいました。卒業後は私は暗黒の男子校生活に入りました。
『あの時、なんで俺は勇気を振り絞って彼女に渡さんかったんやろ』と思い過ごしました。
今はわかります。きっと彼女は、自分向けの手紙であることを、分かっていたんだろうということを。
お互いに幼くて、自分の気持ちをちゃんと伝えることができなかったのね。
大人になるということは、自分の気持ちをちゃんと伝えることができるようになる、ということなのね。
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ここまで読んだあなた!
『おー大野にもこんなことあったんか。やるー』と思われたと思いますが、種明かしをしますと、これはすべて島田紳助のエピソードを自分流にアレンジした文章です(まあ近いことはあったけど)。
アホで多感なのは、実はここまで読んだあなたかもしれません。でもそんな皆さんが大好きですよ。