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「砂漠に水を撒く」について

 

いつもお世話になっております。

私は、さる事業会社の法務に4年ほど勤務していました。

そこそこ大きな会社だったこともあり、顧問弁護士事務所の中堅弁護士に、週4日ほど、午後だけ常駐していただいていました。

14時ごろにお越しになり、18時過ぎに帰られる(ほぼ、自事務所に戻られていたと思います)というサイクルでした。

私は、その帰られる時、たまたま自席にいて忙しくないときは、席を立って彼らをエレベーターまでお見送りに行っていました。

ほんの数分の行為です。それを数年間続けました。大したことは話しません。

「最近いかがですか?」「お子さんの受験はいかがですか?」などの当たり障りのない会話ばかりです。

なぜそういうことをやっていたかというと、単純に、彼らとよい関係性を構築したかったからです。

私も転職や部署異動を経験して、Awayで戦うことの不安感を知りました。

彼らにとっては、クライアントの事務所に行くのは、いかに親しい会社であっても、Awayなはずです。

Awayの不安感を緩和させるのは、親しい仲間を作ることであり、その仲間との会話が、何よりも薬になります。

私は、法務部で頑張っていました。

しかし、法務知識や契約書ワークなどではどうしても他の生粋の法務マンには勝てません。

私の得手は、いかに弁護士先生から力を引き出すか、という点でした。

そのためには、何よりも弁護士先生とよい関係を築くことが必要です。

「この人のためなら教えてあげよう」「この人の依頼ならしょうがないか」と思ってもらうことが、私の目的でした。

私がいつも席を立ってお見送りをするのを、弁護士先生はいつも大変恐縮されました。

でもそこでされる他愛のない会話を楽しんでおられるようでした。

よくよく考えると、弁護士先生との会話はつねに最初から問題点の開陳から始まり、課題感の提示、解決策や作業の依頼に進むという緊張感のあるものがほとんどです。

Awayの環境で、ひたすらその緊張感の高い会話をしてきた弁護士先生には、とても新鮮だったと思います。

結果的に、その会社を退職(卒業)して独立したので、その会社においては、その時に築いた関係性の効果を発揮することはもうありません。

しかし、独立後もよい関係性を継続させてもらっているので、いまだにその事務所に大手を振って訪問できています。

情報交換やディスカッションをさせてもらっています。

タイムチャージのかかる方々なので、無料で時間をとって会ってもらっている私は、実はスペシャルサービスを受けていることになります。

スペシャルサービスを受けられるのは、かつて関係性を構築していたからに他なりません。

その法務部には数十人のメンバーがいましたが、そういう動きをして、関係性を構築しようとしている人は皆無でした。

お見送りは、誰でもできることです。誰でもできる小さなことを、地道に継続的にやること。

これは私の信条でもあります。

一回だけでは価値はありませんが、5年継続すれば価値があることは世の中にたくさんあります。

スポーツや勉強は、この継続力の差が如実に出るところです。

私は、クライアントとの関係性構築力においても、誰でもできる小さなことを、地道に継続的にやることが、効果が大きいと思います。私はこれを、「砂漠に水を撒く」と表現しています。

砂漠に水を撒く行為は一見すると無駄に見えますが、これをやらないと花は咲きません。

これをやらないと、果実を得ることはできません。

「砂漠に水を撒くことで、果実を得ませんか」これは私がクライアントにいつも伝えるメッセージです。

関係性に甘え、いつも無駄話で時間を使ってしまう時間泥棒の筆者からは以上です。