内田篤人氏の解説が非常に良い
サッカー日本代表戦。
(昨日、同様のpostをしたが、その後の着想を含め充実化したので改めてpostする。ご興味あればどうぞ。)
内田篤人氏の解説が非常に良い。これまで多くの解説を聞いてきたが、こんなに腹落ちすることはなかった。目から鱗だ。
今後10年、代表戦の解説をしてもらいたい。
私は松木氏の居酒屋ノリ解説に食傷気味だったので、救世主のように思える。
これであのノリにイラつかずに、落ち着いてテレビを見ることができる。いや、「落ち着いて見る」どころか、偉い経営者の講演を、メモを取りながら聞くような気分である。こうやってみると、もっとサッカーが面白くなるよ、と言ってくれているように思う。
テレ朝は良い人と契約したものだ、とつくづく思う。
彼が解説者としてこんな力量があることを知って契約したのだろうか。
海外クラブでの活躍、日本代表での知名度、アイドル張りのイケメンを考えると、キー局の解説者として契約されるのは当然とも言えるが、こんな追加的能力があったとは、テレ朝サイドもうれしい誤算だろう。
彼を推薦した担当者のボーナスを上げてほしい。
以下、今回の解説で気づいた点である。
•勝っている試合だからといって、絶賛トークにならない・・・これは以前から気になっていた。逆に負けていると、つい批判的トークになる傾向があるが、この水準のチームでは、そんな簡単な話じゃないだろうと思っていた。今回の試合では、勝っている前半から、守備の綻びを指摘していた。そしてその綻びをハーフタイムで調整したのか、後半では矯正されていた。
•守備の連動性という、テレビで個別の選手を見てるだけではわからない点を突いてくる・・・つい、ボールを追う選手に注目しがちであるが、それに連動して、他の選手も細かく移動する必要がある。とくにDFラインは細かくラインコントロールする必要がある。彼はこの守備の連動性を何度も指摘していた。また、前線の大迫選手に守備の負担をかけすぎであることも指摘していた。
•DFのラインコントロールへの要求水準が高い・・・これは相当なこだわりを見せた。彼は現役のときにこんなことを考えながらやっていたんだな、と思わせる。「吉田、富安ならもっとやっている」と辛口な言い回しで表現していた。勝っている試合でここまで言うのは逆に痛快だ。
•強度というガッツの部分を冷静に分析している・・・「強度」という言い回しも頻出ワードだ。「スキル」という言葉と対比して使っているようだ。両方必要であるというメッセージが伝わってくる。この試合では、「相手チームはロストボールを追わなくなってきた」など、素人にもわかるように説明していた。
•疲労で走力が衰えている選手をby nameで指摘している・・・これはなかなかできない。名指しされた選手にとっては、不名誉な話だからだ。しかし、このクラスの選手にとっては、スタミナが足りないとか、そんな簡単な話ではないはずだ。彼は、「前半の守備の負担が大きかったから。その理由は・・・」などとその背景にまで言及していた。
•長友にだけは「長友さん」と呼ぶ・・・体育会系の私としてはよくわかる。ちょっとうれしい。彼が愛される由縁かもしれない。それはさておき、「厳しい戦いになればなるほど長友の価値が上がる」という表現で彼のことを評価していた。厳しいときこそ、顔を上げて、声をかけて周囲を鼓舞する姿勢への評価なんだろう。
•ピッチにいるかのようなコメントがある・・・ピッチにいて、他の選手に指示出しをするようなコメントがあり、非常に臨場感がある。そして、当然その選手には聞こえていないはずなのに、その通りに動く。それを見て、この水準で戦っている選手には当然のプレイなんだな、と思う。その価値観の共有ぶりに舌を巻いた。
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全体として、名経営者が会社経営の要諦について、目の前にあるケーススタディを題材にして語っているような感想を持った。
彼の解説には、我々ビジネスマンがこの世界で戦っていくに際して重要な要素が入っていたように思う。いや、普遍化すると、サッカーの試合で勝つことと、ビジネスの世界でのし上がっていくこととは通底する部分もあるのだ。そこに気づかせてくれた。
ただのイケメンではありまへん。実は、現役選手のときは、失礼ながらあまり彼の良さがわからなかった。解説者になって初めて彼の素晴らしさを知った。瞠目している。
今後、辛口に聞こえるところをテレビ局やスポンサーあたりから指摘されて、本当に彼が言いたいことが直接的に言えないように矯正されてしまうことを、心から懸念する。