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リニア新幹線

そこそこ大きな会社なら、全国支店長会議を年に2度ほど開催していたはずである。

支店長が50人いて、交通費と宿泊費で@5万円かかっていたとすると、支店長会議の運営に年間500万円(50人×5万円×2回)かかっていた。数時間の会議のために、相当な移動時間もかかっていたはずである。移動に体力も消耗していたはずである。

今回のコロナで一気にZOOM会議が定着した。「意外にできるじゃん!」という声をよく聞く。確かに、リアルに顔を合わせる会議に比べ、共感を得たり、巻き込んだりという要素は欠けるように思えるが、何よりも時間と金がかからないのが素晴らしい。体力も消耗しない。

このクラスの大企業だと、今後は顔を合わせるリアルな支店長会議は年に一度に減らし、あとはZOOM会議を隔月で6回開催することを選ぶと思う。むしろその方が、きめ細かいマネジメントができるだろう。(海外支店がある場合はもっと効果が大きいが、本Postでは国内企業に限定する。)

そう考えると、コロナ収束後も、出張費や宿泊費はかからないようになるだろう。結果として、鉄道・空運・宿泊などの出張にまつわる業種は縮小せざるを得ないだろう。コロナが収束すれば回復する!と思っている人が多いが、収束してもこれらの業種は元に戻ることはないだろう。

JR東海が進めているリニア新幹線は、この環境においても必要だろうか。莫大な費用がかかる巨大プロジェクトだが、移動時間が短縮されると、利用客が増えることを前提にそろばんをはじいていると推察する。しかし利用客の多くを占める出張需要が激減することを勘案すると、そろばん通りにはいかない。サンクコストが巨大なので、判断は難しいが、ここは一番、国鉄民営化したときのような蛮勇が必要である。

コロナは一時的なものではない。この半年で進んだことの多くが、将来にわたり常態化する。その変化に応じてビジネスモデルも変えないと、次の20年を生き残っていくことは至難だろう。リニアに限らず、多くの会社が適切な経営判断ができるとよいのだが。